非公式黄リー教道場:15. Glimpses of Unfamiliar Lafcadio Hearn

第15回「非公式黄リー教道場」へお越しいただき、ありがとうございます。

今回のテーマは「ラフカディオ・ハーン」です。

非常に特殊な背景を持つ人物であり、日本では特に「小泉八雲」の名前で知られています。

2025年秋から放送されるNHK朝ドラの題材になるということで、少し早いですが、ラフカディオ・ハーンの生涯や功績に触れておきましょう!

英文読解のルールはいつも通り。

  • 下記の英文(100語程度)を読んで、構造図を考える
  • 理解度をチェックする
  • 和訳をチェックする
  • 構造図・解説をチェックする
  • 面白かったらお友達に紹介する
  • 面白くなくても文句を言わない
  • 間違いを見つけたら、優しく指摘してあげる
目次

本文

Glimpses of Unfamiliar Lafcadio Hearn

Born in Greece, raised in Ireland, and having lived in the United States and Japan, Lafcadio Hearn, known as Koizumi Yakumo, led a remarkably diverse life. So varied were his experiences that they deeply influenced his writings, which explored themes of cultural intersection and the supernatural.

His works, characterized by their rich descriptions and deep explorations of Japanese folklore, are filled with haunting beauty. Hearn’s ability to evoke vivid imagery through his intricate prose allows readers to immerse themselves in the mystical world of Japan’s past.

Not only do Lafcadio Hearn’s tales enrich the literary world, but they also serve as vital conduits for the introduction of Japanese culture to the Western world. His works in Japanese legends and ghost stories remain influential, cementing his legacy as a bridge between East and West.


理解度チェック

次の内容が正しければT、正しくなければF、言及されていなければNを選んでください。

※タップすると解答が表示されます。

Lafcadio Hearn is also known by the name Koizumi Yakumo.

T

第1段落に「Lafcadio Hearn, known as Koizumi Yakumo,」とあるように、ラフカディオ・ハーンは日本に帰化した際に「小泉八雲」と名乗るようになります。

Lafcadio Hearn’s works do not excel in his prose itself, but captivate readers by depicting the mystical world of Japan.

F

第2段落全体で述べているように、ハーンの作品は、内容だけでなく、ハーン自身の圧倒的な文章力もその特徴としています。

Lafcadio Hearn’s works go beyond being merely interesting stories and serve as a bridge between East and West.

T

第3段落にあるように、ハーンの作品は単なる作品としての評価を超え、東西文化をつなぐ架け橋としての役割を担っています。

和訳

知られざるラフカディオ・ハーンの面影

ギリシャで生まれ、アイルランドで育ち、アメリカと日本で暮らし、「小泉八雲」の名で知られるラフカディオ・ハーンは、驚くほど多様な人生を送った。彼の経験は非常に多岐にわたるため、異文化の交差や超自然的な存在を掘り下げた彼の作品に深い影響を与えた。

彼の作品は、豊かな描写と日本の民間伝承の探求を特徴とし、いつまでも心に残る美しさで満ちている。緻密な文章で鮮明な映像を呼び起こすハーンの技術は、古き日本の神秘的な世界へと読者を没入させる。

ラフカディオ・ハーンの物語は文学の世界を豊かにするだけでなく、日本の文化を西洋へ紹介する極めて重要なパイプの役割を果たしている。日本の伝承や怪談噺を扱った彼の作品は現在でも影響力を持ち、彼の遺産を、東西世界をつなぐ確固たる懸け橋としている。


下記の構造図・解説は、あくまで「英語学習者」である管理人によるものです。誤情報が含まれている可能性もあるため、十分にご注意ください(コメント欄またはTwitter(X)にてご指摘いただけますと幸いです)。
なお構造図・解説はすべて『黄リー教』の内容に基づいています。詳細は『黄リー教』および副教材をご確認ください。

構造図

特殊な構造図記号

cj…従属接続詞
+ad…誘導副詞
+S…真主語
-S…仮主語
+O…真目的語
-O…仮目的語

解説

第1段落

Born in Greece, raised in Ireland, and having lived in the United States and Japan, Lafcadio Hearn, known as Koizumi Yakumo, led a remarkably diverse life. So varied were his experiences that they deeply influenced his writings, which explored themes of cultural intersection and the supernatural.

Born, raisedは裸の過去分詞で、過去分詞の分詞構文 [黄リー教: P432 20-7]、having livedは完了分詞構文です[黄リー教: P210]。having p.p.は「全体で1つの動詞のing形と捉える」というルールでしたね。having livedは完了分詞構文なので、述語動詞のledより過去の時制であることを示しています。時制という観点でみると、Bornとraisedもledより前に起きたことであり、having livedと同じ時制になるはずです。よってこれらについても、Having been born, having been raisedという完了分詞構文の形がふさわしいように思えます。しかし過去分詞の場合は、完了準動詞(having p.p.)の形でなくても、完了準動詞と同じ時制を表すことができます。つまりこの文におけるBorn, raisedは、それぞれHaving been born, having been raisedと同じ時制(そしてhaving liveと同じ時制)を表していると解釈できるのです(実際にHaving been born, having been raisedと表現しても問題ないようですが、冗長な言い方になるため、通常は避けるそうです)。一方で現在分詞にはそのような使い方が適応されません。livingがhaving livedと同じ時制を表すことはないため、文脈に応じて使い分ける必要があります。いずれにしてもBorn, raised, having livedはすべてledより前の時制を表していることになります。実際にはled(多様な人生を送った)をしている間にも、ラフカディオ・ハーンはアメリカや日本に住んでいるため、having livedとledは時制的な差がないように思えますが、ここでは厳密な時制の差を表すというより、「多様な人生を送ったバックグラウンドとして過去にこういうことがあった」という旨を表現したいのだと考えられます。

knownは過去分詞形容詞用法でLafcadio Hearnを修飾しています[黄リー教: P432 20-5]。直前にコンマがあるため、分詞構文と解釈しても良いかもしれませんが、ここでは動詞を修飾するというより、主語であるLafcadio Hearnの説明をしていると考えられるため、構造図では現在分詞形容詞用法として処理しています(原則として分詞構文の前にはコンマを置きますが、コンマがあるからといって必ずしも分詞構文になるわけではありません)。

were his experiencesは倒置の文です。so…that構文のsoが文頭に置かれると、強制的に倒置が起こります。thatは副詞節を作る従属節で、so…that, such…that, so thatのような特殊な構文でのみ用いられます(ただしso thatは2語で1つの従属接続詞とみなされます)[黄リー教: P193の2つ目の例文, P198 問題11-4, 同11-6]。

whichは関係代名詞で、which~the supernaturalが形容詞節で名詞修飾(writings)、内側の働きは主語です[黄リー教: L13]。

第2段落

His works, characterized by their rich descriptions and deep explorations of Japanese folklore, are filled with haunting beauty. Hearn’s ability to evoke vivid imagery through his intricate prose allows readers to immerse themselves in the mystical world of Japan’s past.

characterizedは過去分詞の分詞構文です。こちらはHis worksを限定(修飾)しているというより、are filledを付帯的に説明していると解釈できます。

to evokeは不定詞形容詞用法でabilityを修飾しています。abilityは抽象名詞なので、黄リー教P292のタイプ3に該当します。

to immerseも不定詞形容詞用法で、こちらは⑤allowsの補語として機能しています[黄リー教: P293 15-8]。

第3段落

Not only do Lafcadio Hearn’s tales enrich the literary world, but they also serve as vital conduits for the introduction of Japanese culture to the Western world. His works in Japanese legends and ghost stories remain influential, cementing his legacy as a bridge between East and West.

1文目はnot only A but also Bの形の文です。Not onlyが文頭に置かれているため、do Lafcadio Hearn’s tales enrichが倒置しています(Lafcadio Hearn’s tales do not only enrichが元の形です)。

cementingは現在分詞の分詞構文で、意味は「付帯状況」です[黄リー教: P208 12-7]。

余談

ラフカディオ・ハーンは、その生い立ちが影響してのことか、各国の文化に対し極めて公平な視線を向けられる人物だったようです。とりわけ日本は、開国から30年が経っていたとはいえ、西洋人にとっては依然として「未開」の地であり、「劣った民族」の作った「劣った文化」の蔓延る土地という認識が一般的でした。

しかしハーンは、自然信仰との絶妙なバランスを築き上げた日本文化に感嘆し、その当時の私たちですらすでに失いつつあった日本人の精神を作品の中に記録することに成功しました。

彼はその圧倒的な文章力により、かつて日本が有していた、そして私たちが永遠に失ってしまった文化を、目の前にくっきりと浮かび上がるほど鮮明で生き生きとした映像として、私たちに伝えてくれます。

「日本人の精神」やその精神を築いた文化は完全に消滅し、この先再生される見込みもありません。私たちのルーツを知るには、もはや日本と無縁であったはずの誰かが書いた文献を頼るしかありません。少し寂しい気もしますが、それでも私たちの国がかつてどれほど素晴らしいものであったか、これほど肯定的に描いてもらったことに、恐らくハーンの本を読み終えた後、感謝の気持ちすら抱くと思います。興味のある方はぜひ、ラフカディオ・ハーンの作品を手に取ってみてください。

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この記事を書いた人

とりいのアバター とりい 黄リー教多読部部長

元英語嫌いのアラフォー。『黄リー教』に魅了されて以来、英語学習にハマっています。『黄リー教』への恩返しのため、主に学習サポート情報を発信中。ただし、あくまで素人の見解なのでご注意ください。少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。

好きなこと:妻との散歩・旅行・NFL

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