非公式黄リー教道場:17. The Enigmatic Origins of the Great Sphinx of Giza

第17回「非公式黄リー教道場」へお越しいただき、ありがとうございます!

今回のテーマは「スフィンクスの謎」です。

エジプトのミステリーといえば、もちろん真っ先に「ピラミッド」を思い浮かべますよね。ところがピラミッドの前に鎮座する「スフィンクス」についても、実は多くの謎が残されているのです。

というわけで、今日も『黄リー教』のトレーニングをしながら、スフィンクスの正体に迫ってみましょう。

ルールは以下の通り。

  • 下記の英文(100語程度)を読んで、構造図を考える
  • 理解度をチェックする
  • 和訳をチェックする
  • 構造図・解説をチェックする
  • 面白かったらお友達に紹介する
  • 面白くなくても文句を言わない
  • 間違いを見つけたら、優しく指摘してあげる
目次

本文

The Enigmatic Origins of the Great Sphinx of Giza

The Great Sphinx of Giza has long been regarded as a guardian of the pyramids, believed to have been constructed by Pharaoh Khafre (2558–2532 BCE).

Recent theories, however, propose a much earlier date. Researchers John Anthony West and Dr. Robert Schoch argue that the erosion on the Sphinx’s rock is due to water, suggesting a date between 7000 BCE and 3000 BCE when Egypt had a wetter climate.

Moreover, there are no clear records from Khafre’s reign documenting the Sphinx’s construction, which raises further questions. If the Sphinx predates the pyramids (construction of the pyramids began around 2550 BCE), its true builders and purpose remain unknown.

It is still the traditional view that most archaeologists support. However, West and Schoch’s theory continues to invite debate, and future discoveries and technological advancements may unlock its secrets.


理解度チェック

次の内容が正しければT、正しくなければF、言及されていなければNを選んでください。

※タップすると解答が表示されます。

The Sphinx has a possibility of having been built much earlier than the construction of the pyramids.

T

第2段落の「Recent theories, however, propose a much earlier date.」およびそれに続く文によると、スフィンクスはピラミッドよりもはるか昔に作られた可能性があります。

A different pharaoh than Khafre left records of the Sphinx’s construction.

N

カフラ王以外の王がスフィンクスの建設に関する記録を残したという内容は、本文には記されていません。

Archaeologists have confirmed that Pharaoh Khafre was the builder of the Sphinx, and there is no room for debate.

F

第4段落によると、考古学者の大半はカフラ王を支持しているものの、「West and Schoch’s theory continues to invite debate」とあるように、他の可能性に関する議論の余地がないわけではありません。

和訳

謎に包まれたスフィンクスの起源

ギザの大スフィンクスは長い間、ピラミッドの守り神であり、カフラ王(紀元前2558~2532年)が建造したと考えられている。

しかし近年の学説では、はるかに古い時期が提示されている。研究者のジョン・アンソニー・ウェストとロバート・ショック博士は、スフィンクスの岩の浸食は水によるものであり、(スフィンクスの建立された時期が)エジプトが現在よりも湿潤な気候であった紀元前7000~3000年であることを示唆すると主張している。

さらにカフラ王の治世にはスフィンクスの建設に関する明確な記録がなく、その事実がさらなる疑問を招いている。もしスフィンクスがピラミッドより前に存在していたのであれば(ピラミッドの建設は紀元前2550年頃に始まった)、真の建設者と建設の目的は謎に包まれている。

大抵の考古学者は依然として(カフラ王が建設したという)従来の見解を支持している。しかしウェストとショックの学説は議論を呼び続け、今後の発見や技術的進歩によって、その秘密は解き明かされるかもしれない。


下記の構造図・解説は、あくまで「英語学習者」である管理人によるものです。誤情報が含まれている可能性もあるため、十分にご注意ください(コメント欄またはTwitter(X)にてご指摘いただけますと幸いです)。
なお構造図・解説はすべて『黄リー教』の内容に基づいています。詳細は『黄リー教』および副教材をご確認ください。

構造図

特殊な構造図記号

cj…従属接続詞
+ad…誘導副詞
+S…真主語
-S…仮主語
+O…真目的語
-O…仮目的語

解説

第1段落

The Great Sphinx of Giza has long been regarded as a guardian of the pyramids, believed to have been constructed by Pharaoh Khafre (2558–2532 BCE).

has been regardedは完了で、期間を表す副詞のlongがあることから、意味は「継続」と考えられます[黄リー教: P156 9-4]。

⑤のregardは「補語の印」のasを伴う動詞の1つです[黄リー教: P60 5-10]。「…been regarded as a guardian…」は「regard O as C」が受身になったものであり、受身になってもasは残ります。

to have been constructedは完了不定詞(完了受身不定詞形容詞用法)で、全体を1つの動詞として扱います[黄リー教: P220 12-16-3]。過去分詞形のconstructedに助動詞のbeenがついているため、been constructedは全体で受身の動詞です[黄リー教: P128]。been constructedは過去分詞形で、助動詞のhaveがついているため、have been constructedは完了を表します。完了は通常、have助動詞と動詞部分を分けて考えますが、完了準動詞(to have p.p.とhaving p.p.)の場合は全体を1つの動詞として扱います。よってto have been constructedは全体で1つの動詞になります。to have been constructedは形容詞用法の不定詞で、前の働きは-⑤believedの補語です。

第2段落

Recent theories, however, propose a much earlier date. Researchers John Anthony West and Dr. Robert Schoch argue that the erosion on the Sphinx’s rock is due to water, suggesting a date between 7000 BCE and 3000 BCE when Egypt had a wetter climate.

副詞のhoweverの働きは、文修飾として扱います[黄リー教: P341 17-9-3]。

that~climateは名詞節(thatは従属接続詞)で、argueの目的語になっています[黄リー教: P321 17-4]。

due to は1つの前置詞として扱います[TOEIC精読講義: P135]。ここではdue to waterが形容詞句を作り、isの補語になっています。

suggestingは現在分詞の分詞構文です[黄リー教: P208 12-7]。主文の「the erosion…is due to water」を踏まえ、「これはすなわち、エジプトが湿潤だった時期を示している」と説明し直していることから、「言い換え」の分詞構文と判断できます。

whenは関係副詞で、when~climateが形容詞節(a date between 7000 BCE and 3000 BCEを修飾)、内側の働きは動詞修飾(had)です[黄リー教: L14]。

第3段落

Moreover, there are no clear records from Khafre’s reign documenting the Sphinx’s construction, which raises further questions. If the Sphinx predates the pyramids (construction of the pyramids began around 2550 BCE), its true builders and purpose remain unknown.

noは「not+any」に分解して考えます[黄リー教: P78]。「there are no clear records」は「there are not any clear records」となり、「どんな明確な記録もない→明確な記録がまったくない」という意味であることが分かります。単純な文であれば直感的に意味を感じ取れるかもしれませんが、複雑な文、特に二重否定を伴う文では、noの修飾関係を誤って理解する可能性があります。そのため原則として、noは「not+any」に分解して考えるようにしましょう。

documentingは現在分詞形容詞用法で、直前のKhafre’s reignではなく、recordsを修飾しています[黄リー教: P282 15-2]。構造的にはKhafre’s reignを修飾できますが、「スフィンクスの建設について記したカフラ王の治世」では意味(事柄)が通りません。recordsを修飾すると考えると、「スフィンクスの建設について記した(カフラ王の治世の)記録」となり、これであれば意味が成立します。言い換えるとrecordsはfrom Khafre’s reignとdocumenting the Sphinx’s constructionの2つの形容詞句によって後置修飾され、「カフラ王の時代の記録」であり、かつ「スフィンクスの建設について記している記録」という形で、意味を二重に限定されているわけです(さらにnoとclearにも前置修飾されています)。

非制限用法の関係代名詞のwhichは、関係形容詞のwhichと同様に、主節の全部または一部を先行詞にすることがあります[黄リー教: P249 13-8, P269 14-3](この用法は『黄リー教』では未掲載ですが、『探究』などで紹介されています)。この場合は名詞節・形容詞節・副詞節の分類ができないため、単に関係詞節として処理します[黄リー教: P271 一番下の例文]。この英文のwhichは主節の全部、すなわち「カフラ王の治世にはスフィンクスの建設に関する明確な記録がない」という事実を指しており、その事実が「raises further questions = さらなる疑問を招く」と述べています。

第4段落

It is still the traditional view that most archaeologists support. However, West and Schoch’s theory continues to invite debate, and future discoveries and technological advancements may unlock its secrets.

「It is still the traditional view that most archaeologists support.」はit is…thatを用いた強調構文(分裂分)です[実践演習: 200, 231]。it is…thatという形の文は、他に「仮主語のit + 真主語のthat節」の可能性もあります。しかしその場合のthatは従属接続詞であり、that以下は完全な文になるはずです。今回はthat以下が不完全な文であることから、強調構文と判断できます。

to inviteは不定詞名詞用法で、continuesの目的語になっています[黄リー教: P373 18-8]。

余談

現在の考古学では、従来通り、スフィンクスを作ったのはカフラ王であり、スフィンクスはピラミッドの守り神であるとする考え方が通説です。それはスフィンクスの周辺に残された「物的証拠」の多くが、カフラ王の命による建設を示唆しているからです。

それではなぜ、スフィンクスの建設時期について、未だに「議論の余地」があるのでしょうか?その理由は、本文でも述べたように、スフィンクスの建設に関する「記録」が見つかっていないからです。

あれほどの巨大建造物を作るとなれば、膨大な数の人や時間を要するため、何かしらの建設記録が残されるのが普通です。しかしスフィンクスの建造に関する明確な記録は、未だに発見されていません。カフラ王に限らず、古代エジプトの遺物から、その情報だけがポカリと抜けているのです。

このあまりに不自然な状況のせいで、あるいはそのおかげで、「ピラミッドよりはるか昔に作られた」可能性や、そこまでいかずとも「カフラ王以外の王が建てた」という仮説が、今でも議論のテーブルに横たわっています。

エジプトでは毎日のように新たな発見があります。その発見により、スフィンクスは従来通り、カフラ王がピラミッドとともに建てた守り神であることが確証されるかもしれません。一方で、まるでオカルトのような真実が明るみになる可能性もあります。

いずれにしてもスフィンクスの謎が解明されるには、もう少し時間がかかりそうですね。

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この記事を書いた人

とりいのアバター とりい 黄リー教多読部部長

元英語嫌いのアラフォー。『黄リー教』に魅了されて以来、英語学習にハマっています。『黄リー教』への恩返しのため、主に学習サポート情報を発信中。ただし、あくまで素人の見解なのでご注意ください。少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。

好きなこと:妻との散歩・旅行・NFL

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