Lesson 7~9では「進行形・受身・完了」について勉強します。
「進行形・受身・完了」はいずれも、
- 過去分詞形・ing形の可能性の1つ
- 着物を着ている(助動詞が付いている)
という点で共通していましたね。
活用表でいうと次の通り。
助動詞の学習時に下記の表が登場しましたが、太字の部分がこれに該当します。
助動詞の種類 | 動詞の活用 | 動詞の可能性 | 該当レッスン |
do助動詞 | 原形 | do助動詞と一般助動詞の後 | L6 |
一般助動詞 | |||
be助動詞 | ing形 | 進行形 | L7 |
過去分詞形 | 受身 | L8 | |
have助動詞 | 過去分詞形 | 完了 | L9 |
- be助動詞+ing形=進行形
- be助動詞+過去分詞形=受身
- have助動詞+過去分詞形=完了
※Lesson 6ではこの中の「原形」について学習しましたよね。
「進行形・受身・完了」の詳細は、Lesson 7~9で 1つずつ勉強していきます。
そしてついに!
3つのレッスンを通じて、「働きと品詞の対応表」と「活用表」が完成する予定です!
表がすべて埋まったら、ちょっとした達成感がありそうですね。
というわけで、最後まで一緒に頑張りましょう!
Lesson 7
Lesson 7では「ingの可能性」と「進行形」について学習します。
活用表でいうと、
の部分ですね。
ingの可能性
ing形には次の4つの可能性があります。
厳密にいうと「動名詞」と「現在分詞」に大きく分類され、「現在分詞」がさらに「進行形」「現在分詞形容詞用法」「分詞構文」に分かれます。
これを「着物・裸」の視点でまとめると、次のように整理できます。
着物を着ているing形の可能性は「進行形」だけです。裸のing形には「動名詞」「現在分詞形容詞用法」「分詞構文」の3つの可能性があります。
そして、
- 進行形は「原則」述語動詞
- 裸のingは「必ず」準動詞
になります。
裸のingが「必ず」と言っているのに対し、進行形がそうでないのは、進行形が例外的に準動詞になることがあるからです。
※これについては「進行形・受身・完了の例外まとめ」または『黄リー教』の後半で学習します。
ただし例外は例外なので、基本的には、
- 進行形 → 述語動詞
- 裸のing → 準動詞
と覚えてしまって問題はありません。
というわけで、ing形の可能性が登場しましたね。さっそく活用表に追加しておきましょう。
なお、このレッスンでは「進行形」のみ学習します。
進行形
「進行形」については次の点を押さえておきましょう。
進行形とは?
「ing形の動詞」に「be助動詞」の付いた表現を「進行形」と呼び、「~している」という意味を表します。
「be + ing」という形が染みついているため、厳密に考えることを怠りがちですが、進行形はあくまで「ingの4つの可能性」の1つです。
「ingの4つの可能性の中で、ing形の動詞にbe助動詞が付いているものを進行形と呼ぶ」という考え方を忘れないようにしましょう(逆にbe助動詞が付いていなければ、それは絶対に進行形ではない、ということです)。
このような考え方が、『黄リー教』でいうところの「辞書の捉え方」に当たります。
学校文法の捉え方
「進行形」とLesson 8で勉強する「受身」には、「辞書の捉え方」の他に「学校文法の捉え方」があります。
これは「助動詞 + 動詞」を全体で1つの動詞として捉える考え方でしたね。
ここで注目したいのは、
- 全体で1つと捉えた動詞にも活用がある
- この動詞の活用は助動詞部分の活用で決まる
- この動詞の使い方も活用によって限定される
という3点です。
1つずつ確認してみましょう。
全体で1つと捉えた動詞にも活用がある
たとえば「is reading」の場合、学校文法の捉え方では「is」と「reading」を見えないハイフンでつないで、「is-reading」という1つの動詞とみなします(学校文法の捉え方であることが分かるように、あえてハイフンを表記しています)。
1つの動詞として捉えるということは、「is-reading」を「give」や「take」と同じような存在として扱うということです。
すると「give」や「take」をはじめ、すべての動詞には「活用」がありますから、「is-reading」にも同様に、活用があると考える必要があります。
この動詞の活用は助動詞部分の活用で決まる
Lesson 6で勉強したように、全4種の助動詞にはそれぞれ活用がありましたね。
助動詞の種類 | 活用 |
be助動詞 | すべての活用(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形) |
have助動詞 | 原形、現在形、過去形、ing形 |
do助動詞 | 原形、現在形、過去形 |
一般助動詞 | 現在形、過去形 |
そして学校文法の捉え方によって、全体で1つとみなされた動詞の「活用」は、「助動詞部分の活用」とイコールになります。
たとえば「is-reading」という動詞の場合、(辞書の捉え方をした時の)助動詞に当たる語は「is」です。「is」は「be助動詞」の「現在形」なので、「is-reading」の活用も「現在形」ということになります。
また「be助動詞」には原形~ing形までのすべての活用があるため、「is-reading」の活用は次のように変化します。
※ing形は理論上「being-reading」になりますが、「being-being」の形は実際には存在しません。
この動詞の使い方も活用によって限定される
学校文法の捉え方をした動詞も、他の動詞と同様に、活用によって「使い方」および「述語動詞・準動詞」の可能性が限定されます。
たとえば「was-reading」は過去形の述語動詞です。「be-reading」は原形なので、「原形動詞を使うところ」のいずれかに該当します。
以上のように、「進行形・受身」に対して学校文法の捉え方をする時は、
- 全体で1つと捉えた動詞にも活用がある
- この動詞の活用は助動詞部分の活用で決まる
- この動詞の使い方も活用によって限定される
という3点に必ず注目するようにしましょう。
なおこれらの考え方は、活用の重層構造(P148)や進行形・受身・完了の例外に大きく関係します。詳しくはテキストの該当ページや記事をチェックしてみてくださいね。
以上がLesson 7の補足説明です。
働きは前回のままですが、活用表がアップデートされましたね。
では続いてLesson 8に進みましょう!
Lesson 8
Lesson 8では「過去分詞形(p.p.)の可能性」と「受身」を勉強します。
表でいうと、
が該当します。
p.p.の可能性
L8-1
過去分詞形(p.p.)には次の4つの可能性があります。
これを「着物・裸」の視点で整理すると、次のように分類できます。
着物を着ているp.p.の可能性は「受身」と「完了」の2つ、裸の場合は「過去分詞形容詞用法」と「分詞構文」の2つがあります。
そして、
- 受身・完了は「原則」述語動詞
- 裸のp.p.は「必ず」準動詞
になります。
裸のp.p.が「必ず」と言っているのに対し、受身・完了がそうでないのは、受身・完了が例外的に準動詞になることがあるからです。これはingの場合と同じですね。
ただし例外は例外なので、基本的には、
- 受身・完了 → 述語動詞
- 裸のp.p. → 準動詞
と覚えてしまって問題はありません。
というわけで、p.p.の可能性が登場したので、活用表に追加しておきましょう。
なおこのレッスンで学習するのは「受身」のみです。「完了」も登場しましたが、詳細はLesson 9で勉強するため、その時まで追加しないでおきますね。
受身
「受身」については次の点を確認しておきましょう。
受身とは?
「過去分詞形の動詞」に「be助動詞」が付いたものを「受身」と呼びます。
進行形と同様に、「be + p.p.」の形が染みついてしまっていますが、あくまで「受身はp.p.の可能性の1つである」という視点を忘れないようにしましょう。
受身の動詞型
受身は「能動態の文の動詞の目的語を主語に変えた文」です。そのため前提として、「動詞の目的語」が付く動詞=他動詞(③④⑤)しか受身にできません。
受身の動詞型は次の通り。
この動詞型を覚えておくと、受身の動詞の後に付く語を見るだけで、受身の形を判断できるようになります。いちいち能動態に戻して考える必要がないため、とても便利です。
たとえば、
受身の動詞の後にOがある→-④だ!
受身の動詞の後にOもCもない→-③だ!
といった考え方ですね。
ちなみに、①②の受身(つまり-①-②)はありませんが、「受身にできない」という意味であって、
- be助動詞 + ①のp.p.
- be助動詞 + ②のp.p.
という形自体が存在しないわけではありません。
「be助動詞 + ①②のp.p.」は、「受身」ではなく「完了」の意を表します(つまり①②の「完了」の形は、「have助動詞 + ①②のp.p.」と「be助動詞 + ①②のp.p.」の2パターンがあります)。詳細はLesson 8-7で確認しておきましょう(受身ではないので-①-②と表記しないように注意してくださいね)。
さて新しい働きが登場したので、表をアップデートします。
これで「働きと品詞の対応表」は完成です!
学校文法の捉え方
これは進行形の場合と同様ですね。
- 全体で1つと捉えた動詞にも活用がある
- この動詞の活用は助動詞部分の活用で決まる
- この動詞の使い方も活用によって限定される
の3点を改めて確認しておきましょう。
ただし、進行形の場合は「being + being」の形(ing形)がなかったのに対し、受身の場合は「being + p.p.」を含め、すべての活用があります。
受身にできる動詞
この単元では「受身にできない動詞」や「-④にできない動詞」が紹介されていますが、内容的に優先度が高いわけではなく、また「質問」にも登場しません。
特に「-④にできない動詞」を完璧に覚えようとすると、情報量がかなり増えてしまいます。
そのため少なくとも1周目の時点では軽く目を通す程度にとどめ、2周目以降、余裕のある時に細かく確認することをオススメします。
受身進行形・完了受動態
進行形・受身・完了は重ねて用いることができます。これについてはLesson 9でまとめて解説しますね。
以上がLesson 8の補足情報です。
新しい働きと活用が追加されましたね。
「働きと品詞の対応表」はこれで完成です。
そして「活用表」も完成まであと一歩。
それでは前半最後のレッスンに進みましょう!
Lesson 9
Lesson 9では「完了」を勉強します。
先ほど活用表で残しておいた部分ですね。
なお、次のLesson 10は練習問題だけで構成されているため、実質これが前半最後のレッスンになります。
完了
「完了」については、次の点を補足しておきます。
完了とは?
「過去分詞形(p.p.)の動詞」に「have助動詞」が付いたものを「完了」と呼びます。
こちらも進行形や受身と同じく、「完了はp.p.の可能性の1つ」であることを忘れてはいけません。
過去分詞形だ→have助動詞が付いている→じゃあ完了だ!
という考え方で、完了を捉えるようにしましょう。
では早くも…活用表の最後の1つを埋めてしまいたいと思います。
これで「働きと品詞の対応表」に続き、「活用表」も完成ですね!
2つの捉え方
完了には「have助動詞 + p.p.」を1つの動詞とみなす考え方はありません。
進行形や受身と異なり、「辞書の捉え方」「学校文法の捉え方」という2つの捉え方がない点に注意しましょう。
ただし完了が準動詞になる場合のみ、「have助動詞 + p.p.」を1つの動詞とみなします。
これについては「進行形・受身・完了の例外まとめ」を参考にしてみてください(現時点ではスルーしても大丈夫です)。
受身進行形・完了進行形・完了受動態
進行形・受身・完了は、次のように重ねて用いることができます。
- 進行形+受身=受身進行形
- 進行形+完了=完了進行形
- 受身+完了=完了受動態
- 進行形+受身+完了
1つずつ確認してみましょう。
① 受身進行形(進行形+受身)
「carried」は過去分詞形の動詞で、be助動詞(being)が付いています(carriedは過去形も同じ形をしていますが、be助動詞が付くのは過去分詞形かing形なので、過去形の可能性はありません)。過去分詞形には受身、完了、過去分詞形容詞用法、分詞構文の4つの可能性があり、そのうち着物を着ていて、かつそれがbe助動詞であるのは受身のみです。よってこの「carried」は受身になります。
また「being-carried」を1つの動詞とみなすと(学校文法の捉え方)、これはing形の動詞で、wasという過去形のbe助動詞が付いていることが分かります。ing形の可能性は進行形、動名詞、現在分詞形容詞用法、分詞構文の4つで、そのうち着物を着ているのは進行形のみです。よって「being-carried」は進行形になります。
最後に「was-(being-carried)」を1つの動詞とみなすと(学校文法の捉え方)、wasは過去形なので、これは過去形の動詞になります。
総括すると、「was being carried」は過去形の動詞が進行形+受身=受身進行形として用いられているものであり、過去形なので述語動詞であることが分かります。
② 完了進行形(進行形+完了)
「reading」はing形の動詞で、be助動詞(been)が付いています。ing形の可能性は進行形、動名詞、現在分詞形容詞用法、分詞構文の4つで、そのうち着物を着ているのは進行形のみです。よって「reading」は進行形になります。
また「been-reading」を1つの動詞とみなすと(学校文法の捉え方)、これは過去分詞形の動詞で、haveという現在形のhave助動詞が付いていることが分かります(haveは「原形を使うところ」に該当しないため、現在形です)。過去分詞形の可能性は受身、完了、過去分詞形容詞用法、分詞構文の4つで、そのうち着物を着ていて、かつそれがhave助動詞であるのは完了のみです。よって「been-reading」は完了になります。
なお完了には全体を1つの動詞として捉える考え方がありません。
総括すると、「have been reading」は進行形+完了=完了進行形であり、現在形の助動詞(have)が付いているため、述語動詞であることが分かります。
※ちなみに、進行形+完了であれば「be having p.p.」という形も考えられそうですが、この形はありません。完了進行形は必ず「have been ing」の形になります。
③ 完了受動態(受身+完了)
「visited」は過去分詞形の動詞で、be助動詞(been)が付いています(be助動詞が付いているので、visitedが過去形になることはありません)。過去分詞形の可能性は受身、完了、過去分詞形容詞用法、分詞構文の4つで、そのうち着物を着ていて、かつそれがbe助動詞であるのは受身のみです。よって「visited」は受身になります。
また「been-visited」を1つの動詞とみなすと(学校文法の捉え方)、これは過去分詞形の動詞で、hasという現在形のhave助動詞が付いていることが分かります。過去分詞形の4つの可能性のうち、着物を着ていて、かつそれがhave助動詞であるのは完了のみです。よって「been-visited」は完了になります。
なお完了には全体を1つの動詞として捉える考え方がありません。
総括すると、「has been visited」は受身+完了=完了受動態であり、現在形の助動詞(has)が付いているため、述語動詞であることが分かります。
④ 進行形+受身+完了
進行形・受身・完了は、すべてを同時に用いることもできます。詳細は省きますが、これまでの組み合わせのように、辞書の捉え方→学校文法の捉え方を交互に繰り返すことで、構造が見えてくるはずです(being+written=受身 → been+being-written=進行形 → have+been-(being-written)=完了)。
また理論上はさらに一般助動詞を重ねることもできます(たとえば「may have been being written」など)。
このような重層構造を正しく理解するために、活用、辞書の捉え方、学校文法の捉え方を何度も復習するようにしましょう。
beenの4つの可能性
P162(9-5-2)で登場した「beenの4つの可能性」をまとめると次のようになります。
まず「been」には「be動詞」と「be助動詞」の2つの可能性があります。
それぞれの可能性ごとに確認してみましょう。
be動詞
この場合、「been」は過去分詞形のbe動詞です。過去分詞形には受身、完了、過去分詞形容詞用法、分詞構文の4つの可能性があります。
このうち、「裸のbeen」は存在しないため、過去分詞形容詞用法、分詞構文の可能性はなくなります。
またbe動詞は「自動詞」なので、受身にできません。
よってこのbeenの可能性は「完了」に限定されます(have助動詞 + been)。
続いて動詞の「働き」に注目すると、be動詞の働きには①と②の2つしかありません。
したがって「been」が「be動詞」だった場合の可能性は、
- have助動詞 + been(完了 / ①)
- have助動詞 + been(完了 / ②)
の2つに限定されます。
※たとえばhave助動詞 + been(完了 / ①)の例文として「I have been to N.Y.」、have助動詞 + been(完了 / ②)では「He has been ill for a week.」などが挙げられます。
be助動詞
この場合、「been」は過去分詞形のbe助動詞です。過去分詞形には受身、完了、過去分詞形容詞用法、分詞構文の4つの可能性があります。
先ほどと同様に、「裸のbeen」は存在しないため、過去分詞形容詞用法、分詞構文の可能性はなくなります。
また受身だとすると「be助動詞 + been-p.p.」または「be助動詞 + been-ing」の形になるはずですが(受身なのでbeenにbe助動詞が付き、またbeenはbe助動詞なので、後ろにp.p.かingが付くはず)、そもそも「be助動詞 + been」という形は作れません。
よってbe助動詞の場合も、beenの可能性は「完了」に限定されます(have助動詞 + been)。
そしてbe助動詞の後ろにはp.p.かingの動詞が続き、p.p.の場合は受身、ingの場合は進行形になります。
したがってbeenがbe助動詞だった場合の可能性は、
- have助動詞 + been-p.p.(完了受動態)
- have助動詞 + been-ing.(完了進行形)
の2つに限定されます。
以上をもとに、beenの可能性をすべて合わせると、
- have助動詞 + been(完了 / ①)
- have助動詞 + been(完了 / ②)
- have助動詞 + been-p.p.(完了受動態)
- have助動詞 + been-ing.(完了進行形)
の4つになり、「beenの4つの可能性」をすべて挙げられましたね。
以上がLesson 9の補足情報になります。
「働きと品詞の対応表」「活用表」ともに、無事に完成しましたね!
本当にお疲れ様でした。これで『黄リー教』の前半は終了です。
後半になると、これまで扱ってこなかった準動詞や従属節が登場し、さらに複雑化します。
とはいえ、たとえ後半に入っても「働き・品詞・活用」がベースにあることは変わりません。
むしろ3つのキーワードについて、より深く踏み込んで行くことになります。
次のLesson 10ではこれまでの総復習ができるため、後半に突入する前に、前半の理解度をチェックしておきましょう。
経験者として1つアドバイスをすると、Lesson 10のすべての問題にスラスラと答えられるようになるまで、Lesson 11に進むべきではありません。
それほどに、後半ではこれまでの知識を深く問われることになります。
そしてLesson 10を無事に習得した際は、Lesson 11へ進む前に、次の記事に目を通すことをオススメします。
こちらの記事では準動詞・従属節の概要をまとめていますが、これがそのまま『黄リー教』後半の全体図になります。
Lesson 11以降はこれまで以上に学習進路を掴みづらくなるため、準動詞・従属節の一覧表を地図代わりにしながら、テキストを読み進めるようにしましょう。皆さまのお役に立てれば幸いです。
それではまた別の記事でお会いできることを楽しみにしています!
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