「非公式黄リー教道場」へようこそ。
この道場は『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本(黄リー教)』の実践演習を目的としています。
ルールは次の通り。
- 下記の英文(100語程度)を読んで、構造図を考える
- 理解度をチェックする
- 和訳をチェックする
- 構造図・解説をチェックする
- 面白かったらお友達に紹介する
- 面白くなくても文句を言わない
- 間違いを見つけたら、優しく指摘してあげる
本文
F.o.R. Method for Mastering English
In Japan, where a reading style that prioritizes merely guessing meaning over understanding precise structure is widespread, English learners are often encouraged to adopt a superficial method that, rather than emphasizing accurate structural analysis, favors rapid and extensive reading, even if it leads to incorrect interpretations, resulting in a pervasive self-satisfying learning approach.
Yoshiro Minai’s F.o.R. method, however, focuses on meticulous sentence structure analysis, liberating learners from dependency on intuitive guessing and enabling them to find correct answers based on logical grounds.
Though criticized by those favoring intuitive learning, F.o.R. has garnered acclaim from renowned English educators and researchers in second language acquisition. Therefore, it is recommended that aspiring English learners commence their studies by mastering F.o.R.
理解度チェック
次の内容が正しければT、正しくなければF、言及されていなければNを選んでください。
※タップすると解答が表示されます。
In Japan, learning methods that emphasize understanding the structure of English sentences over speed reading or extensive reading are valued.
F
第1段落に「English learners are often encouraged to adopt a superficial method that, rather than emphasizing accurate structural analysis, favors rapid and extensive reading」とあることから、英文構造を正確に理解することよりも、速読や多読のような学習法が重視されているといえます。
F.o.R. enables learners to logically find the correct answers.
T
第2段落に「enabling them to find correct answers based on logical grounds」とあるように、F.o.R.を学ぶことで、学習者は論理的根拠に基づいて回答を見つけられるようになること分かります。
F.o.R. has been criticized by people who focus on meticulous sentence structure analysis.
F
第3段落に「Though criticized by those favoring intuitive learning」とあることから、F.o.R.は(英文の構造解析を重視する人ではなく)直感的な学習を好む人から非難されていることが分かります。
和訳
英語を極める:F.o.R.メソッド
日本では、正確な構造の理解よりも単に意味を推測することを優先する読解スタイルが蔓延しているが、英語学習者は、正確な構造分析の重視よりも、たとえ誤読につながるとしても速読・多読を支持するような、表面的な学習法の採用を勧められることが多く、その結果、自己満足的な学習法がすみずみまで浸透している。
しかし薬袋善郎のF.o.R.は、綿密な分構造解析に重点を置いており、それによって学習者は直感的な推測に依存することから解放され、論理的根拠に基づいて正しい答えを見つけられるようになる。
直感的な学習を好む人々からは批判を受けているが、F.o.R.は著名な英語学者や第二言語習得論の研究者から高い評価を得ている。したがって英語を学びたい人は、F.o.R.の習得から勉強を始めることが推奨される。
下記の構造図・解説は、あくまで「英語学習者」である管理人によるものです。誤情報が含まれている可能性もあるため、十分にご注意ください(コメント欄またはTwitter(X)にてご指摘いただけますと幸いです)。
なお構造図・解説はすべて『黄リー教』の内容に基づいています。詳細は『黄リー教』および副教材をご確認ください。
構造図
cj…従属接続詞
+ad…誘導副詞
+S…真主語
-S…仮主語
+O…真目的語
-O…仮目的語
解説
第1段落
In Japan, where a reading style that prioritizes merely guessing meaning over understanding precise structure is widespread, English learners are often encouraged to adopt a superficial method that, rather than emphasizing accurate structural analysis, favors rapid and extensive reading, even if it leads to incorrect interpretations, resulting in a pervasive self-satisfying learning approach.
第1段落は1つの英文で構成された非常に複雑な構造になっています。この英文の主節は「English learners are often encouraged to adopt a superficial method」で、この主節を副詞句(In Japan…, resulting…)と形容詞節(that, rather than…)が修飾しています。一つずつ確認していきましょう。
whereは非制限用法の関係副詞で、where~widespreadが形容詞節で名詞修飾(Japan)、内側の働きは動詞修飾です[黄リー教: P263 14-1, P249 13-8]。制限用法の形容詞節が名詞を修飾する場合、それは修飾する名詞を「制限=限定」することになります。つまり同じ「名詞」が複数あるが、そのうちの関係詞節が表すような「名詞」、というニュアンスになるはずです。逆にそもそも1つしかないものを制限用法で修飾することは不自然に感じられます。そのため固有名詞を修飾する関係詞節は、普通は非制限用法になります。なおa reading styleに対応する述語動詞はisです。
…reading style that prioritize…のthatは関係代名詞で、外側はthat~structureが形容詞節で名詞修飾(reading style)、内側の働きは主語です[黄リー教: L13]。
guessingは動名詞で、prioritizesの目的語になっています。merelyは副詞で、guessingを修飾しています[黄リー教: P362 18-2]。動名詞は通常、形容詞でなく副詞で修飾するというルールがありましたね[黄リー教: P372 18-6]。
understandingも動名詞で、前置詞(over)の目的語になっています。
…method thatのthatは関係代名詞で、外側はthat~interpretationsが形容詞節で名詞修飾(method)、内側の働きは主語です。主語のthatに対応する述語動詞はfavorsです。主語(that)と述語動詞(favors)の間に「, rather than emphasizing accurate structural analysis,」が挿入されているため、構造を見失わないように注意しましょう。
rather than emphasizingのrather thanは「~するよりもむしろ」という意味を表します。emphasizingは動名詞で、前の働きは前置詞(than)の目的語です。thanは本来「従属接続詞」ですが、ここでは「前置詞」に転化しています(詳細はTOEIC精読講義を参照[TOEIC精読講義: P43])。
ifは従属接続詞で、if~interpretationsが副詞節を作っています(evenは副詞節を修飾)[黄リー教: P189 11-6]。if節はfavorsを修飾し、「たとえ誤読を招くことになったとしても…を支持する」という意味になります。
resultingは現在分詞の分詞構文で、動詞修飾(are encouraged)か、もしくは主文全体を修飾すると捉えても構いません[黄リー教: P208 12-7]。resultingの表す意味は「付帯状況」と考えられます。「付帯状況」の詳細はページ下部にまとめておきました。
第2段落
Yoshiro Minai’s F.o.R. method, however, focuses on meticulous sentence structure analysis, liberating learners from dependency on intuitive guessing and enabling them to find correct answers based on logical grounds.
第2段落も1つの文で構成されていますが、従属節はないため、あくまで「単文」です[黄リー教: P187 11-3]。
howeverは文修飾の働きを持つ副詞です[黄リー教: P341 17-9-3, P344]。
liberatingとenablingが現在分詞の分詞構文で、andでつながれています。意味は「付帯状況」と考えられます。
このguessingはintuitiveという形容詞で修飾されています。そのため第1段落のguessingと異なり、純粋な名詞(「推測、当てずっぽう」)であることが分かります。
to findは不定詞形容詞用法で、⑤enableの補語になっています[黄リー教: P293 15-8]。
basedは過去分詞の分詞構文です[黄リー教: P432 20-7]。分詞構文は原則として直前にコンマを置きますが、絶対にコンマを置かなければならないわけでもありません。裸のp.p.には過去分詞形容詞用法と分詞構文の2つの可能性がありますが、直前にコンマがない場合は、まずは素直に過去分詞形容詞用法の可能性を疑い、構造・意味的に不都合が生じる場合には、分詞構文の可能性も考えてみましょう。なお「based on A」は全体で一つの形容詞句・前置詞句として解釈されることも多いため、そのように処理しても問題ないと思います(いずれの場合も副詞句で、to findを修飾します)。
第3段落
Though criticized by those favoring intuitive learning, F.o.R. has garnered acclaim from renowned English educators and researchers in second language acquisition. Therefore, it is recommended that aspiring English learners commence their studies by mastering F.o.R.
Though criticizedは副詞節の定型的な省略形で、Though it(=F.o.R.) is criticizedからit isが省略されたものと考えられます[黄リー教: P193]。
favoringは現在分詞形容詞用法で、直前のthoseを修飾しています[黄リー教: P423 20-5]。thoseは「人々」という意味です。
has garneredは完了で、表面的な意味は「完了」を表していると思われます[黄リー教: L9, P156 9-4]。イイタイコトは「だから批判によって価値が下がることはない、批判を真に受けることはない、評価されているものとして受け入れても問題ない」といったところでしょうか。
itは仮主語で、that~F.o.R.の名詞節が真主語です[黄リー教: P321 17-4, P322 一番下の例文]。
masteringは動名詞で、前置詞(by)の目的語になっています。
付帯状況・言い換えの分詞構文について
「付帯状況」は「~ながら」「…。そして」などと訳されます。他にも「…。その結果」と訳すとしっくりくることもよくあります。この訳し方(「…。その結果」)は付帯状況から少し離れており、文法書によっては分詞構文の意味に「結果」を加えることもあります(時、理由、条件、譲歩、付帯状況、言い換え、結果)。『黄リー教』には「結果」の意味がないため、ひとまず当ブログでは「結果」を「付帯状況」に含めることにします。なお文末で付帯状況の分詞構文が用いられる場合、単に情報を追加する目的で付与されることが多いように感じられます(このとき、SV, V-ing=SV and Vと解釈できます)。
「言い換え」は文字通り、「主文の内容を別の表現で説明する使い方」を指します。言い換えているだけなので、主文と分詞構文は同じ内容の事柄を述べているはずです。「言い換え」は主に「…、すなわち」と訳されます。
基本的に分詞構文の意味は区別の難しいことが多いため、分類にこだわり過ぎず、「~して」「そして」などと曖昧に訳してしまっても構わないようです(『英文法詳解』P418など)。
なお「付帯状況」や「言い換え」の場合、前の働きは「動詞修飾」「文修飾」のいずれでも問題ありません(『青リー教』や『秘密』では文修飾、『実践演習』では動詞修飾で表記されています)。
余談
このたびは「非公式黄リー教道場」にお越しいただき誠にありがとうございます!
初回の英文はいかがでしたでしょうか?
前述のとおり「非公式黄リー教道場」は、黄リー教学習者向けの実践トレーニングを目的としています。
『黄リー教』と『実践演習』は単文に焦点を当てていました。でも「もう少し長い英文で練習したい」と考える人もいますよね。
「非公式黄リー教道場」の英文は、100語程度かつ難易度の高くない単語で構成されています。
黄リー教後、「いきなり原書に挑戦するには不安がある」または「原書に挑戦したが、難しくて挫折してしまった」という方をイメージして作りました。
「非公式黄リー教道場」の英文をスラスラ読めるようになれば、おそらく初心者向けの原書に十分チャンレンジできると思います。
『黄リー教』を学習した後は、ひたすら実践を重ねていく以外にやるべきことはありません。私自身もまだまだ経験を積んでいる最中です。一緒に「非公式黄リー教道場」でトレーニングをこなして、いつか読みたい原書にチャレンジできるよう頑張りましょう!
コメント
コメント一覧 (2件)
あったらいいなを形にしてくださってありがとうございます。
解説・第1段落のgaspingはrが抜けています。こんなことでしかお役に立てなくてすいません。
YTさん、喜んでいただけて良かったです(ノД`)・゜・。
げっ!本当だ…。
ご指摘ありがとうございます(*´ω`*)
修正しておきました!