『黄リー教』のLesson 6は、前半最大の難所といえます。内容が難しいうえに、学習範囲も多岐に渡るからです…。
Lesson 6の学習内容は次の通り。
- 助動詞
- 原形動詞を使うところ
- 名詞が余ったときの考え方
- 疑問文
- 等位接続詞
- 限定詞
とくに、
- 助動詞
- 原形動詞を使うところ
- 名詞が余ったときの考え方
の3つが重要かつ難解な単元になります。
「助動詞」と「原形動詞を使うところ」では「活用」、「名詞が余ったときの考え方」では「名詞の働き」と「動詞の働き(動詞型=文型)」の知識が深く問われます。
「ちょっと不安だな…」と感じたら、前のレッスンを復習してから取り組むようにしてくださいね。
なおLesson 6では「働き」と「活用」に次のものが追加されます。
骨の折れるレッスンになると思いますが、一緒に頑張りましょう!
原形・過去分詞形・ing形について
「助動詞」や「原形動詞を使うところ」の説明をする前に、「活用」について確認しておくことがあります。
まずこれまで学習してきたように、「活用」には「原形・現在形・過去形・過去分詞形・ing形」の5つがあります。そして活用を知る目的は、
- 動詞の使い方が限定される
- 述語動詞・準動詞の区別に用いる
の2点でしたね。
活用の種類 | 原形・現在形・過去形・過去分詞形・ing形 |
活用を知る目的 | 動詞の使い方が限定される 述語動詞・準動詞の区別に用いる |
Lesson 3では「現在形」と「過去形」を勉強し、どちらも「述語動詞」になることが分かりました。
Lesson 6以降ではこれらに加え、「原形・過去分詞形・ing形」が登場します。
「現在形・過去形」と「原形・過去分詞形・ing形」の違いは、「現在形・過去形」の可能性が1つであるのに対し、「原形・過去分詞形・ing形」には複数の可能性があるという点です。
改めて「活用表」を確認してみましょう。
「現在形・過去形」を見ると、「述語動詞」以外の分岐がないことが分かります。他の可能性がないからこそ、現在形・過去形は必ず述語動詞になるのです。
一方で「原形・過去分詞形・ing形」は、それぞれの活用の中で、さらに使い方が分岐しています。
「現在形・過去形」と異なり、「原形・過去分詞形・ing形」の場合は、「活用の中のどの使い方に該当するか」という点まで確認する必要があるのです。
そしてLesson 6以降では、「原形・過去分詞形・ing形」のそれぞれの使い方について勉強していくことになります。
「助動詞」と「原形動詞を使うところ」を学習するときは、上記の理解を前提に取り組むようにしましょう。
助動詞
「助動詞」といえば、動詞に特別な意味を追加してくれる品詞というイメージがありますよね(「~できる」「~すべき」「~かもしれない」など)。
そのイメージに間違いはありませんが、『黄リー教』で「助動詞」を学ぶときは、さらに次のような理解を求められます。
- 助動詞には働きがない
- 「着物」と「裸」
- 助動詞の種類
- 助動詞の種類と動詞の活用
- 助動詞の活用
- 知っておくと便利な助動詞の裏ワザ
1つずつ確認してみましょう。
1. 助動詞には働きがない
助動詞は「名詞・動詞・形容詞・副詞」に属さない例外的な品詞です。4つの品詞に分類されないため、「働き」もありません。
「働き」がないので、構造図では単に「助動詞」であることを示す「aux」の表記を用います。
※「働き」のない品詞としては、他に後ほど学習する「等位接続詞」があります。
2. 「着物」と「裸」
『黄リー教』独自の表現として、動詞に助動詞が付いている状態を「着物を着ている」、付いていない状態を「裸」と呼びます。
たとえば「I can speak English.」の「speak」には「can」という助動詞が付いているため、「speak」は「着物を着ている」動詞に該当します(「I speak English.」であれば「裸」ですね)。
3. 助動詞の種類
助動詞には次の4種類があります。
- be助動詞
- have助動詞
- do助動詞
- 一般助動詞
「一般助動詞」は『黄リー教』独自の名称で、「be助動詞」「have助動詞」「do助動詞」以外のすべての助動詞を指します。
4. 助動詞の種類と動詞の活用
「助動詞の種類」と「動詞の活用」の組み合わせにはルールがあり、助動詞の種類によって、何形の動詞に付くか決まっています。
そこで、
- それぞれの助動詞が何形の動詞に付くのか?
- 助動詞の付いた動詞は、それぞれの活用の中のどの使い方に該当するのか?
- その結果、述語動詞・準動詞のどちらになるのか?
という点に注目してみましょう。
まず「助動詞の種類」と「動詞の活用」の組み合わせは、次のようになります。
助動詞の種類 | 動詞の活用 |
be助動詞 | 過去分詞形、ing形 |
have助動詞 | 過去分詞形 |
do助動詞 | 原形 |
一般助動詞 | 原形 |
ここで「動詞の活用」に注目してみると、助動詞の付いた動詞はすべて、「原形・過去分詞形・ing形」のいずれかの活用になることが分かります。
先ほどお話ししたように、「原形・過去分詞形・ing形」は、活用の中に複数の可能性がありましたよね。
では「活用と述語動詞・準動詞の対応表」を見ながら、それぞれの動詞がどの使い方に該当するか確認してみましょう。
「do助動詞」または「一般助動詞」の付いた「原形」の動詞は、原形の中の「do助動詞と一般助動詞の後」に該当します。つまり「述語動詞」になります。
「be助動詞」の付いた「過去分詞形」の動詞は、過去分詞形の中の「受身」に当たり、「be助動詞」の付いた「ing形」の動詞は、ing形の中の「進行形」に該当します。どちらの場合も「述語動詞」です。
「have助動詞」の付いた「過去分詞形」の動詞は、過去分詞形の中の「完了」に該当します。これもやはり「述語動詞」ですね。
まとめると次のようになります。
助動詞の種類 | 動詞の活用 | 動詞の可能性 | 該当レッスン |
do助動詞 | 原形 | do助動詞と一般助動詞の後 | L6 |
一般助動詞 | |||
be助動詞 | ing形 | 進行形 | L7 |
過去分詞形 | 受身 | L8 | |
have助動詞 | 過去分詞形 | 完了 | L9 |
「do助動詞と一般助動詞の後」は当レッスンの「原形動詞を使うところ」に登場し、「進行形」「受身」「完了」はLesson 7以降で学習します。
いずれにしても先ほど挙げた、
- それぞれの助動詞が何形の動詞に付くのか?
- 助動詞の付いた動詞は、それぞれの活用の中のどの使い方に該当するのか?
- その結果、述語動詞・準動詞のどちらになるのか?
という点をしっかりと覚えておきましょう。
※進行形・受身・完了は「原則」述語動詞になりますが、例外もあります。例外については各レッスンおよび別の記事で説明します。基本的には述語動詞になると考えて問題ありません。
5. 助動詞の活用
動詞と同じように、助動詞自体にも次のような活用があります。
助動詞の種類 | 活用 |
be助動詞 | すべての活用(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形) |
have助動詞 | 原形、現在形、過去形、ing形 |
do助動詞 | 原形、現在形、過去形 |
一般助動詞 | 現在形、過去形 |
助動詞の活用は、Lesson 7・8でとても大事な意味を持つことになります。
今はあまり深く考えなくても大丈夫ですが、活用の種類は必ず覚えておくようにしましょう。助動詞の活用は「be助動詞→have助動詞→do助動詞→一般助動詞」の順に1つずつ減っていくので、比較的覚えやすいと思います。
なお色々な助動詞の表が登場したので、確認しやすいように1つにまとめておきますね。
助動詞の種類 | 助動詞の活用 | 動詞の活用 | 動詞の可能性 | 該当レッスン |
be助動詞 | すべての活用(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形) | 過去分詞形 | 受身 | L8 |
ing形 | 進行形 | L7 | ||
have助動詞 | 原形、現在形、過去形、ing形 | 過去分詞形 | 完了 | L9 |
do助動詞 | 原形、現在形、過去形 | 原形 | do助動詞と一般助動詞の後 | L6 |
一般助動詞 | 現在形、過去形 | 原形 | do助動詞と一般助動詞の後 | L6 |
6. 知っておくと便利な助動詞の裏ワザ
何度も繰り返しているように、「述語動詞・準動詞」を正しく区別するためには、「動詞の活用」で判断しなければいけません。
ただし「助動詞」の使われている文に限っては、動詞の活用ではなく、「助動詞の活用」によって述語動詞を見つけることもできます。
それを実現しているのが、次のルールです。
現在形・過去形の助動詞が付いている動詞は、必ず述語動詞になる
現在形・過去形の助動詞が付いている動詞は、その動詞自体の活用にかかわらず、必ず述語動詞になります。
このルールを知っておけば、助動詞の活用だけで述語動詞を見つけられるため、動詞の活用について考える必要がありません。
助動詞が使われている文に限定されますが、かなり便利な裏ワザといえます。
ちなみに助動詞の中でも、「一般助動詞」はそもそも現在形と過去形しかありません。そのため一般助動詞が付いている動詞は、無条件に述語動詞になります。これも追加で知っておきたいルールですね。
※一般助動詞については、後で学習する「原形動詞を使うところ」の「do助動詞と一般助動詞の後」と重複しています。「do助動詞と一般助動詞の後」の原形動詞は必ず述語動詞になる、というルールがあるため、そちらのルールにまとめてしまっても問題ありません。
原形動詞を使うところ
「原形動詞を使うところ」については、次の点を押さえておきましょう。
「原形動詞を使うところ」を知る2つのメリット
「原形動詞を使うところ」を知っておくと、次の2つのメリットがあります。
メリット① 述語動詞・準動詞を識別できる
「原形」は活用の1つです。そして活用を知る本来の目的は、
- 動詞の使い方が限定される
- 述語動詞・準動詞の区別に用いる
でしたね。
「原形動詞を使うところ」には、次の5つの可能性があります。
- toの後
- do助動詞と一般助動詞の後
- 命令文
- make, have, letなどの補語
- 仮定法現在
このうち「do助動詞と一般助動詞の後」、「命令文」、「仮定法現在」の3つは述語動詞、「toの後」、「make, have, letなどの補語」は準動詞になります。
述語動詞 | do助動詞と一般助動詞の後 命令文 仮定法現在 |
準動詞 | toの後 make, have, letなどの補語 |
これにより、
「do助動詞」の後に原形動詞が付いている→原形の中の「do助動詞と一般助動詞の後」だ→じゃあ述語動詞だ!
「to」の後に原形動詞が付いている→原形の中の「toの後」だ→じゃあ準動詞だ!
といった判断ができますね。
では新たな「活用」が登場したので、表に追加しておきましょう。
なおLesson 6では、この中の「do助動詞と一般助動詞の後」、「命令文」、「仮定法現在」を扱います(つまり述語動詞のみです。準動詞はLesson 12以降で勉強します)。
※「toの後」には、「to不定詞」と「末尾にtoが付く助動詞」が含まれます。このうち準動詞になるのは「to不定詞」であり、「末尾にtoが付く助動詞」はあくまで「一般助動詞」に分類されるため注意しましょう。
メリット② 現在形を特定できる
「原形動詞を使うところ」を知っておくと、実はもう1つ大きなメリットがあります。
それは、
現在形を特定できる
というものです。
Lesson 3で勉強したように、現在形は必ず述語動詞になります。
ところが「3単現のs」が付かない限り、現在形と原形は同じ形をしているため、見分けがつきません。でも「原形動詞を使うところ」を知っておけば、「それ以外は現在形」と断定できるようになります。
たとえばある動詞を見たとき、
原形か現在形か分からない→原形動詞を使うところに該当しない→じゃあ現在形だ!
という流れで判断できますよね。
このように「現在形は必ず述語動詞になる」というルールは、「原形動詞を使うところ」を知ることで、初めて使いこなせるようになるのです。
仮定法現在
「仮定法現在」はP87とP371で扱いますが、あまり深く触れません(『黄リー教』ではそもそも仮定法を扱いません)。
そのためP87の注5とP371の赤字部分を簡単に確認し、どういうものを「仮定法現在」と呼ぶか理解できれば、ひとまずそれで十分です(仮定法現在を用いた文を見たときに、「あ、コレは仮定法現在だな→じゃあ原形だ!」と気づければ問題ありません)。
名詞が余ったときの考え方
「名詞が余ったときの考え方」については、次の点を理解することが重要です。
基本的働きと例外的働き
名詞の働きには「主語」「動詞の目的語」「前置詞の目的語」「補語」「同格」「副詞的目的格」の6種がありましたよね。
このうち、
- 主語
- 動詞の目的語
- 前置詞の目的語
- 補語
の4つを「名詞の基本的働き」と呼び、
- 同格
- 副詞的目的格
の2つを「名詞の例外的働き」といいます。
基本的働き | 主語 動詞の目的語 前置詞の目的語 補語 |
例外的働き | 同格 副詞的目的格 |
「名詞の働きは?」と訊かれたら全6種を答え、「名詞の基本的働きは?」という質問には「主語、動詞の目的語、前置詞の目的語、補語」の4つを挙げるようにしましょう。
さて新しい「働き」が登場したので、表に追加しておきますね。
※疑問代名詞と関係代名詞は、例外的働き(同格・副詞的目的格)になれません。
余った名詞の3つの可能性
ある名詞が基本的働きの4つに該当しない場合、「名詞が余っている」状態と判断されます。
この名詞は主語、動詞の目的語、前置詞の目的語、補語のどれでもないぞ→つまりこの名詞は余っている!
という考え方ですね。
そして名詞が余っている場合、次の3つの可能性が考えられます。
- 同格
- 副詞的目的格
- beingが省略された分詞構文
「同格」と「副詞的目的格」は名詞の例外的働きでしたね。
一方で「beingが省略された分詞構文」は、名詞が余ったときの可能性を示しているのであって、このような働きが存在するわけではありません。名詞の働きの6種に含めてしまわないように注意しましょう(「名詞の例外的働きは?」と訊かれたときに、「同格と副詞的目的格とbeingが省略された分詞構文!」と答えてしまわないよう気を付けてくださいね)。
なお「beingが省略された分詞構文」についてはP216(Lesson 12)で勉強します。
等位接続詞
「等位接続詞」は、助動詞と同じく「働き」を持たない例外的な品詞です。
等位接続詞については、「動詞+動詞」「文+文」を除き、
「働き」が同じ語・句・節しかつなげない
という点を押さえておきましょう(「品詞」が同じでも「働き」が違う場合はつなげず、逆に「働き」が等しければ「品詞」が違ってもつなげられます。たとえば名詞と形容詞であっても、それぞれが「補語」であれば等位接続詞でつなぐことは可能です)。
限定詞
「限定詞」は名詞のブロック(名詞句)の範囲を見極めるのに役立ちます。
たとえば次のようの文があったとしましょう。
この場合、「dog」という名詞の範囲をパッと見で判断することは、かなり困難です。
ところがこの文に限定詞を付けると…。
「dog」の作る名詞のブロックがはっきり見えてきますね。
つまり副詞②・形容詞②・形容詞③が「dog」を修飾していて、副詞①・形容詞①は「dog」の作る名詞句と無関係であることが分かります。
実際の英文では、このように形容詞や副詞、さらに準動詞や準動詞と同じ見た目の形容詞などが入り乱れ、名詞の「切れ目」を把握しづらいことも少なくありません。
そんなときは限定詞を頼りに、名詞の範囲を正しく見極めるようにしましょう。
以上がLesson 6の補足説明です。
働きおよび活用表が次のように更新されましたね。
Lesson 7~9は、このレッスンで学んだ「助動詞」の知識を問われます。しっかりと助動詞の復習をしてから、次のレッスンに進むようにしましょう。
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