非公式黄リー教道場:3. Maximizing AI Potential via Limitation Awareness

第3回「非公式黄リー教道場」へお越しいただきありがとうございます!

今回のテーマは「生成AIサービス」です。

「ChatGPT」「Copilot」「Gemini」に代表される生成AIサービスの発達をめぐり、英語を使う人・指導する人・学ぶ人の間でさまざまな議論が展開しています。

果たして私たちは、生成AIに対してどのような立場を取るべきなのか。『黄リー教』のトレーニングをしながら、最新技術への向き合い方を改めて考えてみましょう。

ルールはいつもの通り!

  • 下記の英文(100語程度)を読んで、構造図を考える
  • 理解度をチェックする
  • 和訳をチェックする
  • 構造図・解説をチェックする
  • 面白かったらお友達に紹介する
  • 面白くなくても文句を言わない
  • 間違いを見つけたら、優しく指摘してあげる
目次

本文

Maximizing AI Potential via Limitation Awareness

Both English instructors and learners have been actively criticizing the translation capabilities of AI Language Models like ChatGPT, Copilot and others, highlighting the risks posed by the immaturity of AI technology. However, such criticisms often miss the mark.

It’s important to recognize that perfection in technology is an unreachable goal. Whether it’s traditional or state-of-the-art, understanding a technology’s characteristics and limitations ― what it can and cannot do ― is crucial.

Instead of solely focusing on criticism, discussions should center on effective methodologies for utilizing AI.

Those who persistently dismiss a new technology often fail to realize that they are not much different from those who blindly embrace it.


理解度チェック

次の内容が正しければT、正しくなければF、言及されていなければNを選んでください。

※タップすると解答が表示されます。

Criticism of AI Language Models is primarily made by instructors.

F

第1段落に「Both English instructors and learners have been actively criticizing the translation capabilities of AI Language Models like ChatGPT…」とあるように、生成AIに対する非難は教育者、学習者の両者からなされています。

It is important to understand that AI Language Models are not perfect.

T

第2段落で「It’s important to recognize that perfection in technology is an unreachable goal.」と言及されていますね。

People who persistently criticize AI are better than those who blindly accept it.

F

最終段落に「Those who persistently dismiss a new technology often fail to realize that they are not much different from those who blindly embrace it.」とあるように、AIを頑なに非難する人とそれを盲目的に受け入れる人は「大した変わらない」と述べられています。

和訳

AIの限界を知ることが、潜在能力の最大化につながる

英語の指導者および学習者は、ChatGPTやCoplitoのような生成AIサービスの翻訳能力を積極的に批判し、AI技術の未熟さがもたらすリスクを強調し続けている。しかしこのような批判は、しばしば的外れである。

完璧なテクノロジーは到達不可能なゴールであることを認識することが大切だ。旧時代の遺物であろうと、最新のものであろうと、技術の特徴や限界(何ができて、何ができないのか)を理解する必要がある。

批判ばかりするのではなく、AIの効果的な使い方を議論の中心に据えるべきだろう。

新しい技術を執拗に否定する人は、それを盲目的に受け入れる人と大差のないことに気付かないことが多い。


下記の構造図・解説は、あくまで「英語学習者」である管理人によるものです。誤情報が含まれている可能性もあるため、十分にご注意ください(コメント欄またはTwitter(X)にてご指摘いただけますと幸いです)。
なお構造図・解説はすべて『黄リー教』の内容に基づいています。詳細は『黄リー教』および副教材をご確認ください。

構造図

特殊な構造図記号

cj…従属接続詞
+ad…誘導副詞
+S…真主語
-S…仮主語
+O…真目的語
-O…仮目的語

解説

第1段落

Both English instructors and learners have been actively criticizing the translation capabilities of AI Language Models like ChatGPT, Copilot and others, highlighting the risks posed by the immaturity of AI technology. However, such criticisms often miss the mark.

いきなり「Both~AI technology」の非常に長い一文になっていますね。1つ1つ構造を確認しながら、慌てずに読み進めましょう。

「Both English instructors and learners」の「both A and B」は、「not A but B」や「either A or B」と同じように「bothとandで1つの等位接続詞(相関接続詞)」としています。

have been criticizingは完了進行形です[黄リー教: P161 9-5-1]。これによって「(現在に至るまで)ずっと批判し続けている」という「動作の継続」を表しているわけですね。なおbeenの4つの可能性のうち「been -ingは進行形の動詞の過去分詞で完了」に該当します[黄リー教: P162 9-5-2, 徹反: P150 12-6-7など]。

highlightingは現在分詞の分詞構文です[黄リー教: P208 12-7]。ここでは「付帯状況」または「言い換え」を表し、主文に説明を加えています(「付帯状況」「言い換え」の詳細は第1回にまとめています)。

posedは過去分詞形容詞用法で、前の働きは名詞修飾(risks)、後ろの働きは-③です[黄リー教: P423 20-5]。このposeは「引き起こす」という意味で、頻繁に用いられます。

howeverは文修飾で処理できます[黄リー教: P341 17-9-3]。

第2段落

It’s important to recognize that perfection in technology is an unreachable goal. Whether it’s traditional or state-of-the-art, understanding a technology’s characteristics and limitations ― what it can and cannot do ― is crucial.

It’s important to recognizeのItは仮主語、to recognizeの前の働きが真主語です(不定詞名詞用法)[黄リー教: P373 18-8]。

thatは従属接続詞です。that~goalが名詞節で、recognizeの目的語になっています[黄リー教: P321 17-4]。なおthat節が動詞の目的語になっているため、このthatは省略可能です。

whetherは名詞節を作る3つの従属接続詞のうちの1つです[黄リー教: P192~193]。ただし今回は副詞節として用いられています。副詞節のwhetherは「~であろうとなかろうと」という意味です。今回のようにwhether A or Bという形の場合は、「AであろうとBであろうと」という意味になります。

understandingは裸のingで動名詞。前の働きは主語、後ろの働きは③です[黄リー教: P362 18-2]。頭でっかちの文になっているため、構造上の主語+述語動詞を見誤らないよう注意しましょう(主語…understanding、述語動詞…is)。なお第1段落のIt’s important to recognize…のように、仮主語・真主語の形にもできます(It is crucial understanding…)。

what it can and cannot doは挿入句で、limitationsの言い換えをしています。whatは疑問代名詞です。外側はwhat~doが名詞節で同格、内側で動詞(do)の目的語の働きをしています[黄リー教: P397 19-6]。

第3段落

Instead of solely focusing on criticism, discussions should center on effective methodologies for utilizing AI.

focusingは裸のingで動名詞。前の働きは前置詞(Instead of)の目的語、後ろの働きは①です。instead ofは1つの前置詞として扱って問題ありません[TOEIC精読講義: P278]。

utilizingも動名詞で、前の働きは前置詞(for)の目的語、後ろの働きは③です。

第4段落

Those who persistently dismiss a new technology often fail to realize that they are not much different from those who blindly embrace it.

この文は従属節と準動詞が複数用いられているため、構造をしっかりと見極める必要があります。構造上の主語は先頭のThose、大黒柱はfailです。

2つのthoseはどちらも「人々」という意味です[黄リー教: P255 問題13-1]。同じ用法が第1回にも登場しましたね。2つのwho以下はどちらも関係代名詞節で、先行詞のthoseを修飾、内側で主語の働きをしています(あえて同じ形の表現を用いることで、2つのthoseを分かりやすく対比させているのかもしれませんね)。

to realizeは不定詞副詞用法で、前の働きは動詞修飾(fail)、後ろの働きは③です。

thatは従属接続詞です。外側はthat~itが名詞節で、動詞(realize)の目的語になっています(従属接続詞なので、内側の働きはありません)。

余談

ChatGPTなどの生成AIサービスは、英語学習者にさまざまなメリットをもたらしてくれます。ちなみに「非公式黄リー教道場」の英文もChatGPTと筆者のコラボレーションです(貢献度=9:1)。

たしかにAI言語モデルには、まだまだ多くの問題があります。でもその不完全さを責めたところで、少しも建設的な議論には結び付きません(おそらく開発者にすら「そんなことは分かっている」と言われてしまうでしょう)。

そうではなく、「どうしたらうまく使いこなせるのか?」と問いかけることが、前進への糸口になるはずです。

たとえば、

  • 日本語は苦手だけれど英語は得意
  • 翻訳は苦手だけれど文章生成や情報提供は得意

などの特性や、

  • 指示に従ってくれないときは、段階的な手順を踏む
  • 和訳を指示するときは主語、所有格を忘れない
  • 謝罪ループに入ったら、スレッドを新たに立ち上げた方が良い

といった具体的なテクニックを知ることで、AIの不完全さを補填できるかもしれません。

私たちはついAIに対し、無慈悲な完璧さを求めてしまいますが、生成AIサービスも所詮はツールの一つ。機能的な制限がある以上、うまく使いこなせるかどうかは、結局のところ使う側の工夫次第です。

皆さんもより建設的な視点で最新技術に向き合ってみましょう!

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この記事を書いた人

とりいのアバター とりい 黄リー教多読部部長

元英語嫌いのアラフォー。『黄リー教』に魅了されて以来、英語学習にハマっています。『黄リー教』への恩返しのため、主に学習サポート情報を発信中。ただし、あくまで素人の見解なのでご注意ください。少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。

好きなこと:妻との散歩・旅行・NFL

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