非公式黄リー教道場:14. Silent Spread of the Microplastic Pandemic

第14回「非公式黄リー教道場」へお越しいただき、ありがとうございます。

今回のテーマは「マイクロプラスチック」です。

プラスチック袋の有料化など、近年はプラスチックごみに対する取り組みが増えています。しかしプラスチックがもたらす問題は「ごみ」だけではありません。「目に見えないプラスチック」こそ、将来的に私たちに甚大な影響を与える可能性があります。

というわけで、いつものように『黄リー教』の練習をしつつ、マイクロプラスチックの概要に触れてみましょう!

ルールは以下の通り。

  • 下記の英文(100語程度)を読んで、構造図を考える
  • 理解度をチェックする
  • 和訳をチェックする
  • 構造図・解説をチェックする
  • 面白かったらお友達に紹介する
  • 面白くなくても文句を言わない
  • 間違いを見つけたら、優しく指摘してあげる
目次

本文

Silent Spread of the Microplastic Epidemic

Microplastics, minuscule plastic particles typically smaller than five millimeters, pervade various ecosystems globally, infiltrating even the most remote and ostensibly pristine environments, such as the Arctic and deep oceans.

Researchers, having discovered microplastics in both marine life and human bodies, emphasize their potential health risks, encompassing endocrine disruption and other chronic illnesses.

One cannot help but be astounded at how these seemingly insignificant fragments can accumulate and persist within organisms over time, resulting in unforeseen ecological consequences.

While the origins of microplastics often trace back to larger plastic debris breaking down, they also derive from consumer products like cosmetics and synthetic textiles.

Consequently, addressing this pervasive issue necessitates a multifaceted approach, encompassing regulatory measures, public awareness, and technological innovations to mitigate further environmental contamination.


理解度チェック

次の内容が正しければT、正しくなければF、言及されていなければNを選んでください。

※タップすると解答が表示されます。

Microplastics usually refer to plastic particles smaller than 5mm.

T

第1段落に「Microplastics, minuscule plastic particles typically smaller than five millimeters」とあるように、マイクロプラスチックは5mm以下の小さなプラスチック粒子と定義されています。

There have been no cases of microplastics being found in the human body so far.

F

第2段落で「having discovered microplastics in both marine life and human bodies」と言及しているように、すでに人間の体内からもマイクロプラスチックが検出されています。

Microplastics primarily originate only from the breakdown of plastic debris.

F

第4段落に「they also derive from consumer products like cosmetics and synthetic textiles.」とあるように、日用品の使用もマイクロプラスチックの原因になっています。

和訳

静かに広がるマイクロプラスチック・パンデミック

マイクロプラスチックは、通常5㎜より小さい極小のプラスチック粒子を指し、地球規模で様々な生態系に行き渡り、北極や深海など最も離れた、一見汚染されていない環境にまで侵入している。

研究者は海洋生物と人体の両方でマイクロプラスチックの存在を確認し、内分泌攪乱やその他の慢性疾患を含む健康被害の可能性を強く訴えている。

これらの一見取るに足らない破片が時間をかけて体内に蓄積・残留し、予期せぬ生態学的影響をもたらすことに、驚かずにはいられない。

マイクロプラスチックは通常、より大きなプラスチック片が分解されることで発生するが、化粧品や合成繊維のような日用品にも起因する。

したがって、拡大するこの問題に対処するためには、規制措置、啓発、そしてさらなる環境汚染を軽減できる技術革新を含んだ多面的なアプローチが必要である。


下記の構造図・解説は、あくまで「英語学習者」である管理人によるものです。誤情報が含まれている可能性もあるため、十分にご注意ください(コメント欄またはTwitter(X)にてご指摘いただけますと幸いです)。
なお構造図・解説はすべて『黄リー教』の内容に基づいています。詳細は『黄リー教』および副教材をご確認ください。

構造図

特殊な構造図記号

cj…従属接続詞
+ad…誘導副詞
+S…真主語
-S…仮主語
+O…真目的語
-O…仮目的語

解説

第1段落

Microplastics, minuscule plastic particles typically smaller than five millimeters, pervade various ecosystems globally, infiltrating even the most remote and ostensibly pristine environments, such as the Arctic and deep oceans.

plastic particlesはMicroplasticsの同格表現で、Microplasticsの説明をしています[黄リー教: P91 6-12]。

smaller thanのthanは前置詞です。通常thanは従属接続詞ですが、このように単に数値との比較を表す場合には、前置詞で処理して問題ないと思います。

infiltratingは現在分詞の分詞構文で、意味は「付帯状況」と考えられます。「~ながら」と訳してもいいでしょうし、単に「and infiltrate」と同義と捉えてもよさそうですね(詳細は第1回で確認できます)。

remoteは「遠く離れている」という意味ですが、「何から離れているのか」という点については触れられていません。せっかくなので、少し考えてみましょう。文脈としては、マイクロプラスチックが地球上のあらゆる場所に拡散されている、という内容であり、具体的に最も遠く離れた場所の例として北極や深海が挙げられています。これらを踏まえると、「普通に考えてマイクロプラスチックが発生しそうな場所=人間が生活している場所から離れている」と解釈すると、意味が通りそうですね。ostensibly pristineもこれと同様で、「人間の手によって汚染されていないように見える」という内容を表していると考えられます。

such asはひとつの前置詞として扱って問題ないと思います(第6回参照)。

第2段落

Researchers, having discovered microplastics in both marine life and human bodies, emphasize their potential health risks, encompassing endocrine disruption and other chronic illnesses.

having discoveredは完了分詞構文で、意味は「理由」または「付帯状況」です。完了は原則としてhave助動詞と動詞を別の語として扱いますが[黄リー教: P152 9-2]、完了動名詞・完了現在分詞形容詞用法、完了分詞構文(having p.p.)の場合は、have助動詞+動詞を1つの動詞と考えます[黄リー教: P210, P365]。

encompassingは現在分詞形容詞用法で、health risksを修飾しています[黄リー教: P282 15-2]。直前にコンマはありますが、分詞構文として扱うと「研究者は内分泌攪乱やその他の慢性疾患を含んでいて…」となり、意味(事柄)が通じません。動名詞(同格)でも意味は成立しないため、現在分詞形容詞用法に限定されます。原則として分詞構文の前にはコンマを置きますが、必ずコンマがあるわけではなく、またコンマがあるからといって必ずしも分詞構文になるわけではありません。あくまでも構造と意味の両側から成立する答えを探すようにしましょう。

第3段落

One cannot help but be astounded at how these seemingly insignificant fragments can accumulate and persist within organisms over time, resulting in unforeseen ecological consequences.

oneは「人」を表す抽象的な代名詞であり、「一般的な人」を指すyou, we, they, peopleなどと同様に用いられます(ただしoneはかなり固い表現のようです)。

cannot help but doは「原形動詞を使うところ」の例外に当たります[黄リー教: P86 6-8の注2]。「~せずにはいられない」を意味する慣用表現であり、構造を考えても実益はなさそうなので(もし構造が分かる方がいたら、ぜひ教えてください!)、ひとまずidiomで処理しておきましょう。大事なことは「butの後が原形になる」という点です。実際にbe astoundedという原形動詞が見つかりますね。

howは関係副詞で、外側はhow~consequencesが名詞節で前置詞の目的語(at)、内側の働きは動詞修飾です[黄リー教: P263 14-1]。もしくは、この文におけるhowはほとんど様態としての意味を持っていないため、従属接続詞(=that)と考えても良いと思います[黄リー教: P404]。いずれの場合も外側の範囲、品詞、働きは変わりません。

resultingは現在の分詞の分詞構文で、意味は「付帯状況」です。

第4段落

While the origins of microplastics often trace back to larger plastic debris breaking down, they also derive from consumer products like cosmetics and synthetic textiles.

breaking downは動名詞で、toの目的語になっています。plastic debrisが意味上の主語です[黄リー教: P362 18-2, P368 18-5]。breakingを現在分詞形容詞用法と捉え、plastic debrisを修飾するという考え方もできますが(構造的には問題ありません)、この場合は「plastic debrisそのものがマイクロプラスチックの原因である」という意味になります。しかし実際には、マイクロプラスチックはplastic debrisが「分解される過程」で発生するのであり、trace back toの目的語はあくまでbreakingであるべきです。すると最初に述べたように、breakingは動名詞でtoの目的語と解釈する方が、意味(事柄)に一致するという点で、構造的に妥当だと考えられます。

第5段落

Consequently, addressing this pervasive issue necessitates a multifaceted approach, encompassing regulatory measures, public awareness, and technological innovations to mitigate further environmental contamination.

addressingは動名詞で、前の働きは(構造上の)主語です。

encompassingは現在分詞形容詞用法で、approachを修飾しています。第2段落のencompassingと同様、直前にコンマはありますが、分詞構文ではありません。

to mitigateは不定詞形容詞用法で、innovationsを修飾しています[黄リー教: P291 15-7]。名詞が抽象名詞なので、『黄リー教』P292のタイプ3に該当します。

余談

マイクロプラスチックはしばしば「海洋汚染」として紹介されます。しかし私たちは日常的に海洋生物を「食べている」わけですから、その影響は直接的に私たちの体にも及びます。

プラスチックの最大の恐怖は、「自然分解に数百年掛かる」という点です。一度生み出してしまえば、その後数百年にわたって生態系を痛めつけ、結果的に私たちに予期せぬ、そしておそらく致命的な問題をもたらすことになるでしょう…いつものように。

すでに出回ってしまったプラスチック(とマイクロプラスチック)をすべて回収し、自然に害のない形で処分することなどもちろん不可能です。これ以上プラスチックを生み出さないことも、同じくらい不可能でしょう。

「目に見える」問題にすら無頓着な私たちが、「目に見えない」問題にどれだけ注意を向けられるのか。

自然環境で簡単に分解されるプラスチックの開発を願いつつ、すでに生産されてしまったものについては、その他の環境問題と同様に、「ツケ」として将来に回す以外に現実的な方法はないのかもしれませんね。

二酸化炭素しかり、オゾン層の破壊しかり。人類の「発展」はことごとく自然と相いれないような気がします。

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この記事を書いた人

とりいのアバター とりい 黄リー教多読部部長

元英語嫌いのアラフォー。『黄リー教』に魅了されて以来、英語学習にハマっています。『黄リー教』への恩返しのため、主に学習サポート情報を発信中。ただし、あくまで素人の見解なのでご注意ください。少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。

好きなこと:妻との散歩・旅行・NFL

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