非公式黄リー教道場:8. A Brief History of Ancient Mesopotamia

第8回「非公式黄リー教道場」へようこそ!

今回のテーマは「メソポタミア文明」です。

近年「世界史」をテーマにした英語学習書籍が増えていますよね。歴史の知識は様々な場面で引用されるため、知っておいて損はありません。

というわけで『黄リー教』の力試しをしつつ、同時に世界史も勉強しましょう!

ルールは以下の通り。

  • 下記の英文(100語程度)を読んで、構造図を考える
  • 理解度をチェックする
  • 和訳をチェックする
  • 構造図・解説をチェックする
  • 面白かったらお友達に紹介する
  • 面白くなくても文句を言わない
  • 間違いを見つけたら、優しく指摘してあげる
目次

本文

A Brief History of Ancient Mesopotamia

Mesopotamian civilization, which flourished between the Tigris and Euphrates Rivers, emerged around 4000 BCE or even earlier. The Sumerians laid its foundation, establishing city-states like Ur and Uruk. Their innovations included cuneiform, one of the earliest writing systems, and the wheel.

The Akkadians under Sargon of Akkad formed the first empire around 2300 BCE, followed by the Babylonians, notably Hammurabi, who codified laws. The Assyrians and Chaldeans rose to power, with Nebuchadnezzar II’s Babylon reaching its zenith.

The region saw cultural, scientific, and architectural advancements, including ziggurats and irrigation systems. However, frequent warfare, environmental challenges, and invasions contributed to its eventual decline, with the Persians conquering the area around 539 BCE.

Mesopotamia’s legacy endures in law, literature, and urban planning.

歴史用語
  • the Tigris and Euphrates Rivers…ティグリス・ユーフラテス川
  • Sumerians…シュメール人
  • Ur…ウル(都市国家)
  • Uruk…ウルク(都市国家)
  • cuneiform…楔形文字
  • wheel…車輪
  • Akkadians…アッカド人
  • Sargon of Akkad…サルゴン(アッカド王)
  • Babylonians…バビロニア人
  • Hammurabi…ハンムラビ王(ハンムラビ法典を制定)
  • Assyrians…アッシリア人
  • Chaldeans…カルデア人
  • Nebuchadnezzar II…ネブカドネザル2世(新バビロニア王)
  • Babylon…バビロン(新バビロニアの首都)
  • ziggurats…ジッグラト(メソポタミアの諸都市国家に建設された聖塔。なおバビロンのジッグラトは「バベルの塔」のモデルといわれている)
  • Persians…ペルシア人

理解度チェック

次の内容が正しければT、正しくなければF、言及されていなければNを選んでください。

※タップすると解答が表示されます。

Ancient Mesopotamian civilization was initially established by the Sumerians.

T

第1段落に「The Sumerians laid its foundation」とあるように、シュメール人が最初にメソポタミア文明を築いたことが分かります。

The Sumerian city-states were invaded by the Babylonians and later dominated by the Sargon of Akkad.

F

これは順序が逆になっていますね。第2段落で「The Akkadians under Sargon of Akkad formed the first empire around 2300 BCE, followed by the Babylonians, notably Hammurabi」と説明しているように、サルゴン率いるアッカド人がメソポタミアに最初の帝国を築き、その後バビロニア人によって支配されています。

Mesopotamia saw the development of cuneiform writing, ziggurats, and irrigation systems.

T

第1段落の「Their innovations included cuneiform」、第3段落の「The region saw cultural, scientific, and architectural advancements, including ziggurats and irrigation systems.」から、この文が正しいことが分かります。

和訳

古代メソポタミア文明の略史

メソポタミア文明は、ティグリス・ユーフラテス川の間で繁栄し、紀元前4000年頃もしくはそれ以前に成立した。シュメール人が基礎を作り、ウルやウルクのような都市国家を建設した。シュメール人の発明品として、最初期の文字の一つである楔形文字や車輪が挙げられる。

紀元前2300年頃にサルゴン王の率いるアッカド人が最初の帝国を形成し、バビロニア人、なかでも法を成文化したことで知られるハンムラビ王がそれに続いた。次にアッシリア人とカルデア人が政権を握り、ネブカドネザル2世時代のバビロン(新バビロニア)が(メソポタミア文明の)絶頂期を築いた。

メソポタミアではジッグラトや灌漑システムをはじめとする、文化、科学、建築面での進歩がみられた。しかし度重なる戦争や環境の変化、侵略により結果的に衰退し、紀元前539年にペルシア人によって征服された。

メソポタミア文明の遺産は、現在の法、文学、都市計画にも受け継がれている。


下記の構造図・解説は、あくまで「英語学習者」である管理人によるものです。誤情報が含まれている可能性もあるため、十分にご注意ください(コメント欄またはTwitter(X)にてご指摘いただけますと幸いです)。
なお構造図・解説はすべて『黄リー教』の内容に基づいています。詳細は『黄リー教』および副教材をご確認ください。

構造図

特殊な構造図記号

cj…従属接続詞
+ad…誘導副詞
+S…真主語
-S…仮主語
+O…真目的語
-O…仮目的語

解説

第1段落

Mesopotamian civilization, which flourished between the Tigris and Euphrates Rivers, emerged around 4000 BCE or even earlier. The Sumerians laid its foundation, establishing city-states like Ur and Uruk. Their innovations included cuneiform, one of the earliest writing systems, and the wheel.

whichは非制限用法の関係代名詞で、外側はwhich~Riversが形容詞節で名詞修飾、内側の働きは主語です[黄リー教: L13, P249]。Mesopotamian civilizationのように1つしか存在しない名詞を先行詞にする場合、制限用法を用いるのは不自然です。そのためここでは非制限用法が使われています。ただし日本語ではその点をあまり厳密に区別しないため、「メソポタミア文明は、ティグリス・ユーフラテス川の間で繁栄し、…」と非制限用法的に和訳するのはもちろん、「ティグリス・ユーフラテス川の間で繁栄したメソポタミア文明は、…」と制限用法的に訳しても問題ないと思います。

BCEは「紀元前」を表す記号です。昔は紀元前=BC、紀元後=ADが用いられていましたが、近年は紀元前=BCE、紀元後=CEの使用が一般的になっているようです(恐らく宗教的な配慮でしょう)。

establishingは裸のingで、現在分詞の分詞構文として用いられています[黄リー教: P208 12-7]。意味は「付帯状況」で、主文に説明を追加しています(and establishedと同義)。「付帯状況」の分詞構文について、第1回で詳しくまとめています。

第2段落

The Akkadians under Sargon of Akkad formed the first empire around 2300 BCE, followed by the Babylonians, notably Hammurabi, who codified laws. The Assyrians and Chaldeans rose to power, with Nebuchadnezzar II’s Babylon reaching its zenith.

「The Akkadians under Sargon of Akkad」のunderは、サルゴンの(指揮系統の)下にあったアッカド人→「サルゴンの率いるアッカド人」のように訳すと自然です。

followedは裸の過去分詞で、過去分詞の分詞構文として用いられています[黄リー教: P432 20-7]。followed byは順番や、複数の出来事を時系列で表す際にしばしば用いられます。A followed by Bは「Aがあり、その後Bがある」と訳すとスッキリするはずです。

notablyはespeciallyと同義の副詞であり、especiallyと同様に名詞を修飾できます。

whoは関係代名詞で、外側はwho~lawsが形容詞節で名詞修飾、内側の働きは主語です。

「with Nebuchadnezzar II’s Babylon reaching its zenith」は「with構文」と呼ばれるもので、薬袋先生の「黄リー教サポート情報」に詳細があります[黄リー教サポート情報] 。独立分詞構文の先頭にwithが付いたものと解釈し、withを無視した形で構造を考えると、Nebuchadnezzar II’s Babylonが意味上の主語、reachingは分詞構文で前の働きが文修飾、後ろの働きが③、zenithがOとなります。今回の構造図では「黄リー教サポート情報」に従い、(内部的な構造を頭で処理しつつ)シンプルにwith~zenithを副詞句としています。

ちなみに「Nebuchadnezzar II’s Babylon」の「Babylon(バビロン)」は新バビロニアの首都です。ネブカドネザル2世は新バビロニアの国王なので、本来は「Nebuchadnezzar II’s Neo-Babylonian Empire」というべきでしょう。しかし英語では(時々日本語でも)、国名の代わりに首都の名前を用いることがありますよね。たとえばワシントン=アメリカ、東京=日本、モスクワ=ロシアなど。この文でもバビロンという首都の名前を挙げることで、実際にはバビロンを中心とする新バビロニア全体を指しています。

第3段落

The region saw cultural, scientific, and architectural advancements, including ziggurats and irrigation systems. However, frequent warfare, environmental challenges, and invasions contributed to its eventual decline, with the Persians conquering the area around 539 BCE.

seeの主語が「時間や場所を表す名詞」の場合、「時間・場所でO(出来事・変化など)があった」と意味することがあります。たとえば「The 20th century saw two world wars.(20世紀に二つの世界大戦があった)」といった具合ですね。「The region saw cultural, scientific, and architectural advancements」の場合は、「その地域(メソポタミア)では文化、科学、建築面における進歩がみられた」のように訳すと、自然な日本語に変換できると思います。

includingは分詞構文と解釈しても良いと思いますが、辞書に前置詞としての用法があるため、構造図ではそちらで処理しています。なおジーニアスには「includingの目的語に有名な, あるいは重要な人や物が来ることがある. その場合には『…を含めて』ではなく, 『…をはじめとして』と訳すとよい」とあります。今回の英文でいうと「ジッグラトや灌漑システムを含め」ではなく「ジッグラトや灌漑システムをはじめとする、文化、科学、建築面の進歩がみられた」のように訳すと、より分かりやすい翻訳になりそうですね。

※ジーニアス英和辞典第6版より引用。

Howeverは文修飾の副詞です[黄リー教: P341 17-9-3]。

「with the Persians conquering the area around 539 BCE.」も前述の「with構文」に該当します。内部的にみると「the Persians + conquering」が「意味上の主語+述語関係」になっていますね。

第4段落

Mesopotamia’s legacy endures in law, literature, and urban planning.

endureには「耐える」の他に「①存続する」という意味があります。具体的な記述はありませんが、要するに「古代メソポタミア文明の遺産は、(現代の)法律、文学、都市計画にも存続している=受け継がれている」と解釈できそうですね。なお形容詞のenduringはこの語意の派生と考えられ、「長期間続く」という意味を表します。

余談

メソポタミアは現在のイラクに当たる地域を指し、そこで(今のところ)人類最古の文明が誕生しました。歴史に詳しくない人でも、名前くらいは聞いたことがあると思います。

謎多きシュメール人から始まり、さまざまな民族による侵略・発展を繰り返しながら、その地で人類の文明の基礎が築かれました。

たとえば60進法や1週間=7日という概念もメソポタミアで生まれています。

またキリスト教(ユダヤ教)の伝説として知られる物語も、実はメソポタミア文明(オリエント文明)の影響を多大に受けています。

たとえばバベルの塔、ノアの箱舟、最後の審判などがそうですね。

冒頭でも述べましたが、歴史の知識はさまざまな場面で引用されるため、意外なところで役に立つかもしれません。

筆者が歴史好きということもあり、今後も「非公式黄リー教道場」のテーマに取り上げたいと思います。

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この記事を書いた人

とりいのアバター とりい 黄リー教多読部部長

元英語嫌いのアラフォー。『黄リー教』に魅了されて以来、英語学習にハマっています。『黄リー教』への恩返しのため、主に学習サポート情報を発信中。ただし、あくまで素人の見解なのでご注意ください。少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。

好きなこと:妻との散歩・旅行・NFL

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